クリエイター受難の時代。
歴史を振り返ると恐らくこの半世紀の間にクリエイターを苦しめる大きな出来事があった事が分かります。
【デジタル化(ビット化)】
まず最初が情報のデジタル化。
CDやDVDのように情報をデジタル化して配布できるようになりました。
それまではアナログだったのでコピーしても必然的に情報データは劣化します。
劣化するからコピーは容認されていたところもあるかと思います。
ところがデジタル化された事でオリジナルと同じクオリティでコピーできる事が可能に。
この事が後に大きな問題となっていきます。
【インターネット】
インターネットの登場によりデジタルデータの配布が容易になりました。
既に映像も音声もデジタル化されているのでこれらのコピーが大量に出回るのは必然と言えるでしょう。
コピー情報を交換するP2Pソフトの登場も影響が大きかったです。
【スマートフォン】
インターネットの登場の時点ではまだ利用者はPC使用者に限られていましたがスマートフォンの登場でほぼ全ての人がインターネットを使うようになり、コンテンツのコピーも容易かつ大量に消費されるようなります。
【生成AI】
ここまでは情報の消費サイドの問題でしたがこちらは供給側にとってのブレイクスルーです。
これまでもPCソフトウェアの発達によりアナログの時代と比べれば飛躍的に創作活動が容易になってきていました。
静止画のPhotoshopに動画のAfterEffectsにより現実にはあり得ない映像をさもリアルに作り事が可能になり、MayaやBlenderなどの3Dソフトはゼロから新しい物体を構築できます。
しかしながらこれらのソフトを使いこなすにはかなりの時間を掛けてスキルを習得する必要がありました。
ところが最近登場した生成AIでは命令を単語の羅列で伝えるプロンプトだけでどのような映像でも作成できる事が可能になりました。
既に静止画では人間を上回るレベルに到達しています。
動画は流石に現時点では実用的には及ばないレベルですが、進化のスピードが速いのでこれもいずれは人間のレベルを追い越すでしょう。
【これらの影響】
クリエイターは作った作品が発表した途端にデジタルコピーされてそれがネットで拡散される。だから価値がすぐにゼロになるものを最初からお金を出して買う人がいなくなる。
そればかりか作る方もこれまでは長年掛けて習得しなければならなかったスキルが不要になるので優良なコンテンツが無料で大量に出回る事になる。
このような時代にクリエイターはどうやって生きていけば良いのか?
勿論先に述べたようにジャンルによってはまだ暫くは生き残れる分野もあるだろうが現状より良くなる事は考えづらい。